最初に織田委員長から記者会見の主旨を提起。「3・31東電抗議デモの逮捕は、社会的な注目を集めており、逮捕者自らが見解を示す必要があると考え、記者会見を開催しました。そして、何よりも原発即時停止の1000万筆署名を強力に呼びかけたい。原発は今も虐殺と絶望を拡大している。闘う方針を今すぐに届けなければならない。」
さらに、逮捕者当該と弁護士から、今回の逮捕の実態を暴露し、記者からの質問を受けました。
全学連は今回の弾圧を絶対に許さず、署名運動を徹底的に広げることをもって反撃に立ちます。すべてのみなさんの、署名運動への全力の取り組みを訴えます。
3・31東電抗議デモ弾圧を弾劾し
全原発の即時停止の1000万署名運動を訴える
2011年4月6日
東電抗議デモ被逮捕者
織田陽介(全日本学生自治会総連合委員長)
斎藤郁真(法政大学文化連盟委員長)
坂野陽平(全日本学生自治会総連合委員長代行)
(1)
私たちは、3月31日に行われた原子力安全・保安院および東京電力本社への抗議デモおよび申し入れに参加し逮捕され、翌4月1日に釈放された。国家権力による不当な逮捕・勾留に抗議の声をあげてくださった方々には本当に感謝いたします。そして、今回の不当逮捕について、改めて憤りをもって弾劾し、抗議の意志を表明する。今回の逮捕は、国および東京電力が、原発事故に関して謝罪するどころか、抗議する者を弾圧する意図を持っていることを明らかにしたという点で絶対に許すことのできない事態であり、私たちは釈放後も事態の収拾を許さず抗議し、すべてのみなさんに原発即時停止の声を強力にあげていただくよう訴える。
(2)
私たちは、東日本大震災の渦中に進行している原発事故に抑えがたい憤りを感じ、何より被災地にいる仲間のためにという思いからデモを呼びかけた。
しかし、デモ当日に起きたことは異常極まる事態であった。デモの集合場所には100人を超える警視庁公安部の私服警官が集まり、写真とビデオを撮影して監視し包囲していた。彼らはデモの横について監視・弾圧を続け、そして東京電力の前で逮捕という事態に至った。
警察は逮捕の理由を「デモを停滞させた」としているが、東電前で起きたことは以下のことであった。
?「警視庁丸の内警察署長」名の看板をそれぞれもった警官2名がデモの前に立ちふさがった。
?看板には「デモ行進を指揮(扇動)している君に警告する。君たちのデモ行進は東京都公安条例違反である。君から許可条件を守るように指揮しなさい」と書かれてあった。
?警察が自ら作りだした「停滞」を理由に3人を逮捕。うち斎藤は看板が出る前に逮捕が着手されていた。
?坂野の服は破れ、斎藤は足で蹴られながらタクシーに詰め込まれるほどの暴力的なものであった。
看板の内容、そして看板を周到に用意していた事実からも明らかな通り、運動の中心人物を狙った計画的な逮捕であった。ビデオカメラを持った者を抑えて撮影させないなど、警察自らその不当性を百も承知で逮捕したのである。
(3)
逮捕後、丸の内署に連行され、着衣、靴までもが差し押さえられ、手錠をかけられ、椅子に縄で縛り付けられ、取調室に監禁された。さらに、「取調べ」と称して「こんな運動は誰も支持していない、やめろ」といったおよそ取調べとは呼べないどころか、運動を妨害する意図をもった罵倒が加えられた。取調べは13時頃から始まったが、16時すぎるまで「上がまだ検討しているから」と警察は被擬事実を聞くこともできなかった。また、被擬事実を記載した書類を確認した警視庁公安部・岡野直人が「これで十分だ。23日(勾留)いけるよ」と発言する場面もあった。
これは今回の逮捕が、逮捕のみを目的とし、国と東電の犯罪行為への抗議に対する弾圧を目的とした不当極まるものであることを明らかにしている。私たちは、この2日間の勾留を絶対に許さない。東電への抗議を理由に牢屋に入れられたということは、すべての人びとの原発への怒りを踏みにじる行為である。すべてのみなさんに、ますます強力に原発即時停止の声をあげてもらいたいと心から訴える。
(4)
私たちは、原発即時停止の1000万筆署名を訴える。?すべての原発をただちに停止・廃止せよ、?政府と東電は責任を認めて謝罪し、すべての被害を補償せよ、?原発政策を推進・擁護する大学教授・研究者の責任追及の3点をかかげて、私たちは署名運動を開始した。もちろん私たちの怒りや思いはこの要求以上のものがある。私たちは政府・東電に対し、奪われた労働者・農民の命や、二度と帰れなくなった故郷を返せと言いたい。さらに、日本の伝統ある反核運動が、原発を認め、力を持ち得なかった歴史への悔しさもある。しかし、すべての労働者、学生、農漁民、市民の怒りを一つにする以外に現状を打破する力はない。学校・職場・地域で力をあわせて署名を集めることを訴える。
(5)
現在政府は「安全基準の見直し」をもって原発政策を守ろうとしている。東京電力による「計画停電」、「原発なしで電力をどうするのか」というキャンペーンの中で、「段階的に原発以外のエネルギーに移行」といった原発を結局は認めてしまう議論が横行している。しかし、私たちは原発絶対反対の声をあげようと訴えたい。原発は今すぐ停止し、廃止する以外にない。
第一に、これは被災地の人たちの思いだ。私たちは被災地の立場にたって闘う。そして、あらゆる原発が福島原発のようになる可能性がある以上、被災地の思いこそすべての人びとの思いでなければならない。
第二に、政府・東電幹部に一切の責任がある。東電の役員報酬は7億2100万円(2009年度)であり、人びとの生活に不可欠な電気で金儲けをしてきたのは東電幹部だ。そのためにどれだけの労働者が被曝させられてきたのか。このようなあり方を開き直り、「計画停電」などと責任を私たちに押しつけることなど絶対に許さない。「停電」を理由にした解雇や工場の停止、そして農畜水産物の被害、住居等々の一切に責任をとれ。
第三に、原発は核武装の問題であり、人びとの生活のためではなく、むしろ虐殺のための政策だ。原発予算を初めて国会に通した中曽根康弘が、その原点を「私が戦争中海軍に動員されて高松にいた時、広島の原爆雲を見た。この時私は、次の時代は原子力の時代になると直感した」(中曽根康弘『政治と人生―中曽根康弘回顧録』講談社)と回想しているように、始めから原発は原爆製造こそが目的だった。「核の平和利用」などという理屈であいまいにしてきたのはむしろ反核運動の側だったという歴史をこれ以上続けてはならない。原発はただちに停止・廃止以外にない。絶対反対以外にない。
(6)
IMFは「日本発」の大恐慌への懸念を表明した。そして、リビアに続き、コートジボワールへの爆撃が開始され、中東への軍事介入が進められている。時代は1929年世界大恐慌から世界戦争へと向かった歴史を繰り返すのか否かを問うている。沖縄から爆撃機が飛び立ち、「日米安保の強化」が大震災を口実に叫ばれている。原発の停止と沖縄基地撤去を闘う私たち日本の反戦・反核運動こそが戦争の歴史を終わらせる力を持っている。その闘いの先頭に学生自治会と労働組合が立とう。原発推進の学者を大学から追放し、法政大学を先頭に学生運動を甦らせよう。東京電力の労働者は今こそ勇気をもって立ち上がってほしい。
(7)
農民の自殺という耐え難いニュースが報道された。闘おうという訴えが届いていればと焦るばかりだ。絶望してはいけない。一日もはやく、すべての人にこの署名運動を知らせなければならない。
私たちは原発絶対反対で徹底的に闘う。すべてのみなさん、今回の逮捕を契機に強力な運動を作りだし、被災地を守り抜こう。本気になるときは今だ。署名の第一次提出は4月22日を予定している。全国からの署名を政府・東電へたたきつけよう。