2015年2月10日
全日本学生自治会総連合(委員長・斎藤郁真)
【1】徹頭徹尾でたらめな2・3弾圧
私たち全学連は、本年2月3日、福島大学で反戦・反原発のビラを福島大生に配布していたAくんが、傷害罪をでっち上げられ不当に逮捕されたことに対して強く抗議します。
「学生がビラを受け取らなかった」としてAくんがつかみかかったという暴論からはじまる虚構の事件によって、彼は逮捕から一週間以上も不当に勾留され続けています。
容疑とされている内容について、そもそもAくんは傷害はおろか胸ぐらをつかんですらいません。むしろ、Aくんに対して突き飛ばしたり胸ぐらをつかむなどして暴行をふるったのは「被害者」Sの側であり、この事実はAくんと一緒にビラを配布していた全学連の仲間や通行中の多くの福島大生が目撃しています。
さらに、この事件において普通では考えられないこととして、「被害者」Sの110番通報で現場に現れたのが制服警官ではなく公安刑事であったこと、「被害者」Sがすぐさま大学当局(学生課)に電話して大学職員の応援を呼んだことが挙げられます。
他にも挙げればいくつもある不可思議な点を総合して見るならば、今回の弾圧が反動学生、福島大学当局、および国家権力(安倍政権)の結託によって仕組まれた反原発運動つぶしのための政治弾圧であることは明らかです。実際に、本件が傷害事件として扱われているにもかかわらず、なぜかAくんの住むアパートに家宅捜索が行われ、その押収対象も「反原発と記載のあるもの」とされていました。いわゆる“過激派キャンペーン”をきっさきにしながら反原発運動全体にネガティヴな印象を与えて運動を妨害しようとするでっち上げ事件を絶対に許すことはできません。
【2】3・11以来、立ち上がり続けて来た福島大生の存在
福島大学当局は、翌日には全福島大生に対して今回の事件を周知するメールを送信しています。福島大学の教職員が事件の瞬間を見ているわけでもなければ、直接的な当事者でもないのにも関わらずです。そして、今回の事件をあたかも「学外者」の「過激派」による事件として描こうとしていますが、それとは裏腹に福島大学当局が3・11以来最も弾圧を加えて来たのは実は福島大生であり、今回の弾圧も福島大生に対して、反原発運動に関われば逮捕されるという恫喝をするための見せしめとしても行われたものであることは間違いありません。
3・11後、福島県内で行われた最初の大規模な反原発デモである11年6月19日の福島市内デモを皮切りに、この4年間、福島大生は絶えず原発事故に対する不安や怒りを胸に行動に立ち上がり続けて来ました。そして、それを力でねじ伏せようとし続けて来たのが他ならぬ福島大学当局です。
福島大学当局は反原発という中身を問題にしているのではなく、ルールを守らないことを問題にしているなどと繰り返していますが、それもまた真っ赤なウソであり歴史の捏造です。これまで福島大学当局は福島大生が福島大学当局の定めたルールに従って企画した反原発の講演会すら認めてきませんでした。11年10月には講義棟で企画をやらせないために当日の講義棟の貸し出しを他の学生も含めて全面的に禁止するということまでありました。
また学長・副学長直轄体制で、担当教官、保護者、友人関係など利用できるものは全て動員して、福島大生の反原発の思いを泥靴で踏みにじってきました。そして、権力でもって福島大生が反原発運動から離れざるを得ない状況をつくりだしては、「本人は納得している」「大学の対応に感謝していると言っていた」などと許すことのできない発言を繰り返してきました。
つい最近も、全学連の仲間がビラを配布していることに対して「ゴミを散らかすな」などと極めて侮辱的な発言を福島大生がいる前で繰り返し、反原発の活動に取り組む仲間を差別・分断してきました。今回の事件も、そうした反原発運動に対する弾圧の一環です。しかしそれは同時に、そのような中でも福島大生が原発反対の声を上げ続けて来たことに耐えかねた福島大学当局の悪足掻きであると言えます。不正義に満ちた大学当局の姿勢と社会に対して怒りを持って立ち上がり続ける福島大生の存在が彼らに破綻を突きつけています。
【3】戦争国家体制構築の一環としての治安弾圧強化
このような政治弾圧、言論弾圧が行われて来た背景には、大学も含めた原子力ムラの存在、そして安倍政権・日本帝国主義が戦争をできる国づくりへと突き進んでいる現実があります。法政大学でも原発御用学者・大久保利晃(放射線影響研究所理事長、郡山市原子力災害対策アドバイザー)の講演会に抗議した学生が無期停学処分を受けていますし、何より昨年11月に京都大学で起きた公安刑事摘発事件がそのことを鋭く社会に示しています。この事件をめぐっても、公安刑事を摘発した学生自治団体の執行部を務める学生が先日「微罪」でもって不当逮捕され長期勾留されています。
1・20日本人人質事件をも契機としながら、「テロとの闘い」「過激派の壊滅」などといったスローガンを掲げれば、あらゆる法的な規制をも乗り越えて権力者の好き勝手に治安弾圧を行っても許されるというようなプロパガンダが流布されています。今回の事件に関するこの間のマスコミ報道も“過激派キャンペーン”一色であり、到底看過できるものではありません。
【4】大学を反原発・反戦の砦に
私たちのなすべきことは、こうした状況を民衆の実力でもって覆していくことです。とりわけ学生と労働者の団結した力、学生自治会と労働組合の行動が歴史を分かつ決定的要因として問われています。
私たちが共に闘って来た国鉄水戸動力車労働組合(動労水戸)は、復興・帰還キャンペーンの中、「被曝労働拒否」を掲げJR線の再開にストライキで抗しています。ふくしま共同診療所は、福島医大が先頭に立って放射能安全神話をふりまく中、「避難・保養・医療」を掲げ原発事故による健康被害に向き合っています。先日、ふくしま共同診療所に対しても、福島民友による“過激派キャンペーン”が行われましたが、動労水戸の闘い然り、本当に現実を変えることのできる運動は多くの福島の人々からの支持を生み出しながら力強く発展しています。
私たち全学連は、来たる「3・11反原発福島行動‘15」に全力で取り組む中で原発御用学者を大学から追放する闘いを前進させます。そして、戦後70年談話の発表を契機に戦後日本の在り方、とりわけ憲法9条に代表される戦争放棄の在り方を全面的に覆そうとしている安倍政権と真正面から対決し、5?6月安保国会を全国300万の学生の怒りで包囲する闘いを実現すべく全力で闘う決意です。
政治弾圧とは本質的には見せしめにしか過ぎません。それを打ち破る力はまさにAくんのように反原発・反戦の行動に多くの学生が立ち上がることにあります。その力でもってAくんの釈放を直ちに勝ち取りましょう!「被害者」S、福島大学当局、警察権力は政治弾圧をやめ、Aくんに謝罪しろ! 全ての学生はAくん弾圧に抗議の声を上げ、安倍政権を倒そう! とりわけ福島大生の皆さん、「3・11反原発福島行動‘15」に共に立ち上がろう!
以上