暴処法裁判更新意見(新井拓くん)

更新意見

2010年5月13日
被告人 新井 拓

裁判官が交代するということで、これまでの裁判の経過を踏まえ、私からの意見を述べたい。
まず冒頭、ハッキリさせたいことは、もうこんな裁判はやめよ、裁判という名のむき出しの政治弾圧を直ちにやめよということです。

昨年10月5日の初公判以来、これまで12回の公判が行われ、出てきた証人が10人いました。そのうち公安刑事がなんと6人でした。検察がこれから請求する予定の証人もほとんどが公安刑事です。これだけ見ても、この法廷で行われているのが中立・公正な「裁判」などではないということが分かります。警察・検察・裁判所が一体となった100%不正義の政治弾圧と言う他ありません。
まず、公安警察とはどんな存在なのか。立て看板撤去に抗議した学生29人全員が大学キャンパスの中で逮捕された、あの06年3・14法大弾圧を実行したのは200人の公安警察官でした。証人として出廷した公安刑事・江上潤は駆け足でキャンパス内に突入したと自白しています。
そもそも公安警察は、3・14法大弾圧以前も、弾圧の機会をうかがって毎日のように法大キャンパスに登場・徘徊してきた連中です。実際の弾圧にも繰り返し手を染めてきました。「証人」として出てきた公安刑事自らが認めていることです。
また公安警察とは、革命の到来を最も敏感に感じる存在でもあります。先日、私は『週刊新潮』という雑誌で、60年安保闘争の記事を読みました。当時公安・私服刑事を指揮していた佐々淳行の回想が載っていました。それによれば、彼ら公安刑事は「機動隊は大丈夫だろうが、われわれ公安は、革命が起きたら処刑は間違いないだろう」などと語り合っていたそうです。公安警察とは、自らの反人民性・不正義性を100自覚した存在なのです。こういう存在だからこそ、革命家の存在、そして革命家とともに立ちあがる学生や労働者の存在を心底憎み、日夜恐怖し、弾圧しているのです。断じて許せない存在です。
そして彼らは、法大においても、数々の悪行に手を染めてきました。この場で一々あげることはしませんが、ハッキリ言って無法の限りを尽くしてきたのです。
本件の法廷では、こういう連中が次々出てきて、われわれ被告が有罪だという「証言」を繰り返してきました。検察との綿密の打ち合わせに沿って、検察の手となり足となり口となって、ありもしない記憶まで「喚起」してしゃべってきたわけです。こんなことのためにわれわれは7ヵ月半も勾留されていたのかという怒りが腹の底から湧いてきます。 絶対に許すことはできません!
また、公安以外の「証人」もおよそ証人としての体をなしていませんでした。総務部職員の小川浩幸は、一貫して学生弾圧の先頭に立ってきたその立場から、なんだか分からない静止画像を見てこれは誰だ、あれは誰だと言い募りました。3万法大生と労働者階級は彼を絶対に許さない。
さらにここまでの裁判で、唯一「学生証人」として出廷してきた玉聞祐樹は、仲間を国家権力に売り渡して一切恥じることのない腐敗しきった姿をこの法廷でさらけ出しました。逮捕の脅しに屈服した玉聞は、検察官・古井にいわれるままに何度も検察庁に出かけていき、延べ100時間にも渡る打ち合わせした上で、彼もまたありもしない「記憶」の喚起行為、つまりは事実のねつ造を行い、当日のことをまるで事実であるかのように証言しました。挙げ句の果てに、古井検事が自らこの法廷で発言した通り「まさに面割り」を行ったわけです。しかし、われわれ被告団と弁護団の怒りの徹底追及によってそのことごとくがでっち上げであることが暴かれました。玉聞はこう言いました。「検察官と打ち合わせていないことは証言しない」と。これこそ、紛れもない宣誓違反、裁判の破壊ではないのか!
また、これは私個人のことですが、哲学研究会の一員としても、彼を許すことは到底できないということです。彼は警察に屈服して以来、繰り返し哲学研究会の仲間に「自分と同じように屈服しろ」という働きかけを行ってきたのです。そういうことをやっておいて「自分は哲学研究会への帰属意識など持っていない」と証言する。恥知らずにもほどがあるということです。
この政治弾圧の一切を指揮し、われわれを7ヵ月半に渡って勾留してきた首謀者こそ、目の前に坐っている、古井、岡本をはじめとする検察官です。絶対に許しません。その責任は、必ず取らせるということをはっきりさせておきたいと思います。

次に、沖縄やギリシャをはじめ、世界が革命情勢に入っているという中で本件弾圧が行われ、公判が行われてきたという問題、その重要性・歴史性について意見を述べておきたいと思います。
暴処法はその制定の趣旨からいっても、治安維持法とセットで制定されたという事実から見ても、団結破壊の法律です。行為そのもの以上にその集団性、すなわち団結を刑罰の対象とするところに、暴処法の本質があります。そして逆に言えば団結破壊こそが、この資本主義社会、資本の階級支配の本質であることが、この暴処法に明らかなのです。
このような法律が発動されるにはやはり歴史的根拠があるわけです。大恐慌が生み出す大失業と戦争の一大攻撃の中から、階級的団結が圧倒的に復権しつつあることが背景にあるのです。そう見る以外に、この弾圧を説明することができないような、そういう事態が世界で次々と起こっています。
ギリシャの労働者階級は大恐慌の第2段階、つまり国家そのものの財政破綻に対して「労働者への責任転嫁反対!」「ヨーロッパの人民よ立ちあがれ!」と世界革命を呼びかけ闘いを続けています。何波にも渡るゼネストを叩きつけ、空港は完全に停止し、商店、観光地も封鎖されています。教育労働者はテレビ局を占拠し、全ギリシャ人民を相手に公務員首切りの不当性を訴えています。青年労働者は先頭に立って国会に攻め込み、機動隊と激突しながら闘いぬいています。こうした闘いは、本質的に革命的祖国敗北主義的であり、本当に感動的です。
また、沖縄の労働者階級は「県内移設」という最悪の分断攻撃を、14年にわたる辺野古基地建設実力阻止の闘いを土台に打ち破り、4・25県民大会に9万人の大部隊を登場させました。それは、基地と戦争?日米安保体制そのものが労働者人民とは相容れないことを爆発的につきだし、徳之島?鹿児島の闘いへと団結を拡大させています。ついに、基地と戦争をこの地球上から一掃する歴史的闘いが始まったのです。
そして、誰よりも法大生がこのような時代の到来を体現して118人の逮捕と33人の起訴という未曾有の大弾圧を完黙・非転向で打ち破りながら、法政大学という監獄大学に学生の団結を復権させています。この闘いの中で打ち立てた「教育の民営化粉砕」の路線はアメリカ、韓国、ドイツ、ブラジルなど全世界の労働者・学生にとって共通のスローガンとして受け入れられ、国境を越えた団結を作り出しています。団結という、この2文字が持つ無限の可能性を、実践をもって示しているのが法大闘争です。
大恐慌の爆発が保護主義と戦争へと突き進んでいくことに対し、全世界で労働者階級が、青年・学生が団結を希求し、それを言葉だけではなく、自らの闘いを持って復権させているのです。このような時代だからこそ、団結を憎み、刑罰の対象とする暴処法が発動されているのです。国家権力の攻撃が団結の復権を必然とし、これに対しやはり国家権力が攻撃するとするなら、私たちの闘いもまた必然的に、団結を強化・拡大するということ以外にあり得ません。すなわち、自らの闘いを前に進めようとするなら、労働者・学生は、最高の団結形態、最高の「義理・人情」、「一人の仲間も見捨てない」という、あの文化連盟が掲げた革命的スローガンで団結した革命的労働者党の建設を、自らが直面する全事態に対する一切の回答とするのだということです。半世紀に渡って「反帝国主義・反スターリン主義」の旗を守り抜き、動労千葉労働運動をもって大恐慌に立ち向かっている革命的共産主義者同盟こそ、この歴史的課題に真っ向から答えうる組織、党だということを、私は誇りを持って断言したいと思います。

最後に改めてはっきりさせておきたいことは、私たちは暴処法弾圧という歴史的弾圧を見事に打ち破りつつあるということです。すでに国鉄の仲間は暴処法弾圧を打ち破っています。完黙・非転向を核心として、戦前以来の弾圧法にも闘えば勝利できることを歴史的に実証しつつあるのです。支配階級の土俵であるこの法廷に、労働者・学生の階級的魂と団結が、歴史的に復権されています。私たち被告団・弁護団は誇りをもってこの道を突き進んでいくということを宣言しておきたいと思います。
裁判所に問われていることは、世界史の歯車を逆に回すこの暴処法弾圧にこれからも手を貸し続けるのか、ということです。あえてこういう言い方をしますが、裁判官の交代はいい機会です。直ちに、こんな裁判を取りやめよ、公訴棄却に決起せよ! ということです。
以上を、裁判官交代にあたっての私の意見とします。

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