2010年2月3日 全日本学生自治会総連合(織田陽介委員長)
法政大学文化連盟
去る1月29日、東京地裁民事第9部(渡邉隆浩裁判長)は、全学連と12人の学生(新井拓、市川知寛、内海佑一、織田陽介、恩田亮、久木野和也、倉岡雅美、齋藤郁真、坂野陽平、中島宏明、増井真琴、松室しをり)に対し情宣活動禁止の「仮処分決定」を下した。
「決定」は、?2月5日からの法政大学入試期間中に、?市ヶ谷キャンパスおよび九段校舎から半径200?以内での「徘徊」「滞留」と情宣活動を禁止し、?違反した場合は罰金100万円を支払え、というものだ。これは、受験生への宣伝活動の禁圧であり、「言論・表現の自由」(憲法第21条)を否定する暴挙だ。法政大という一資本の「営業権」が憲法をのりこえることを、どうして許せるか。われわれはこの「決定」を怒りを込めて弾劾し、あらゆる手段でもって反撃し、受験生との結合を通して法大闘争を前進させることを宣言する。
本「決定」こそ、新自由主義大学=法政の破産の象徴だ。世界大恐慌と大失業で労働者・学生が生きていくこともままならない中、逆に法大資本は「就職」「資格」をエサに高い学費をむしりとってきた(今年の初年度納入金は126万円超)。その当然の帰結として受験者数が激減している破産的現実(一般入試受験者数は08年=97000人から09年=85700人へ)の責任を、学生のビラまき活動に転嫁することは何ごとか。大学をあくどい「教育ビジネス」としてきたあり方こそ根本的問題だ。この新自由主義大学への怒りと法大闘争が結びつくことへの恐怖として、本「決定」がある。
その上で第一に、本「決定」における歴史的踏みきりを許すことができない。
一つに、東京地裁は法政大からの申立を受けながら、当該団体・学生に一切そのことを知らせず、審尋すら開催せずに「決定」を下した。よってわれわれは事前に、申立書の内容に目を通せず、裁判官がいかなる理由で「決定」を下したのかさえ知ることができない。これは明白に、「審尋の必要性」を規定した民事保全法第23条違反である。審尋開催の時間的余裕は十分あったのであり、「仮処分の緊急性」の言い逃れは許されない。これは、東京地裁においても過去に例を見ない歴史的反動だ。
二つに、「全学連」を対象としたことは、事実上の破壊活動防止法・組織的犯罪対策法の団体適用である。これは、実行行為の有無に関わらず集団・団体の構成員であるならば逮捕できる戦前来の治安弾圧法=暴力行為等処罰法(暴処法)が、09年に法大闘争へ適用されたことと同じ攻撃だ。
三つに、法大入試期間中の「情宣禁止仮処分」は初めてだ。昨年3月のオープンキャンパス時にも8人の学生に同様の決定が下されているが、今回は明白にこれを4月新入生歓迎時や集会時などに恒常的に拡大し、法大周辺を憲法停止の「戒厳令状態」に置くことを狙ったものだ。
第二に、「大学資本の営業権」を万能とするこのあり方こそ、「教育の民営化」による新自由主義大学の腐りきった姿だ。
「仮処分申立」においては、「必要十分な数の学生の法政大学への入学を実現するための各種活動は債権者にとって極めて重要な業務であり、債権者の有する営業権の範囲」、「債務者らの行為により重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがある」などと法大当局は主張している。つまり、学生運動とビラまきは金儲けにとっては「邪魔」だというのだ。これがまがりなりにも「自由と進歩」を掲げる教育機関の言うことか。恥を知れ。
1980年代以来の「教育の民営化」によって、キャンパスは「資本の論理」に支配(私物化)され、学生は無批判な奴隷にさせられようとしている。時を同じくして、法学部・経済学部両教授会が3人の法大生へ新たな処分を狙っているが、キャンパス内のビラまきで処分、正門前のビラまきで罰金100万円という法政大はもはや「教育の場」ではなく監獄だ。
第三に、本「決定」は「改憲・戦争」への道そのものだ。この「情宣禁止仮処分」は09年暴処法弾圧と一体の国家意志だ。今年5月には国民投票法(改憲投票法)が施行されるが、それに先立って戦後憲法体系の破壊が開始されている。大学から自由が奪われるときに戦争が始まる。この「再びの戦争への道」は、資本家たちが大失業・賃下げで労働者・学生からの収奪を強化している攻撃とひとつながりのものだ。
第四に、これは06年3月14日の学生29人逮捕以来、法大当局が処分と恫喝によって暴力支配に血道を上げてきた帰結だ。
法政大においては、この4年間での学生弾圧が112人の逮捕?33人の起訴を数えている。それと平行して学生の自治と団結は徹底的に破壊され、90年代以降、学生自治会非公認化、サークル活動の拠点としての学生会館の解体、学友会解体、学生ホールの撤去、ビラまき・立て看板禁止に暴力ガードマン導入などの政策が進められてきた。学生の団結、大学当局への批判、自らの意思の表明そのものが「違法」であり弾圧・処分の対象とされてきたのだ。
だが、その支配ももはや成り立たない。弾圧された学生は全員が完全黙秘・非転向の闘いを貫き、08年からは「一人の仲間も見捨てない」を掲げてキャンパスの中から文化連盟が登場した。昨年4月には法大1500人集会を実現した。法大闘争は弾圧をのりこえてさらに前進する。
第五に、本「決定」はわれわれの団結を固め、全学的・全社会的に法大当局と国家権力を包囲する声を拡大させる。
暴処法弾圧への怒りが、動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)を先頭とする闘う労働組合との共闘と昨年6月15日の法大門前1200人集会を生み出した。さらに昨年3月の「仮処分決定」に対しては、74人の弁護士連名の「抗議声明」が発せられた。法大闘争への国境をこえた連帯は韓国、アメリカ、ドイツなどに広がっている。今年3月には、法大闘争は米カリフォルニア州の労学ストライキと結合する。
最後に、法大闘争は「仮処分決定」をのりこえて必ず勝利する。法大当局がいくら受験生に真実を見えないようにし、「未開発の軍事独裁政権」(『ジャパン・タイムズ』09年6月9日号)とまで揶揄された自らの不正義を隠蔽しようとしても無駄である。われわれは断固として入試情宣と新歓活動をやり抜き、受験生・新入生を獲得する。
社会に怒りの声は渦巻いている。2010年は、「戦争と大失業」「民営化と団結破壊」に対して、青年・学生の反乱が巻き起こる年だ。法大闘争はその先頭に立つ。キャンパスの主人公は学生だ。われわれは、来る4月23日の法大総決起集会を突破口に、自らの行動によって未来を切り開く決意だ。 (以上)